光のもとでⅠ
 聞いたこととしてしか認知していないからなのか、パズルのピースはあっているはずなのに、違和感を覚える。
「毎日チクチク刺されんだぞ?」
 顔を覗きこまれてびっくりした。
 考え事をするとき、下を向いてしまうのは私の癖なんだろうか。
 そんなことを考えながら先生の言葉に返事する。
「神経ブロックじゃなければ大丈夫です。あんな注射、蚊に刺されるのと変わりません」
「蚊に刺されるのと変わらない、か。スイハは強ぇな? ま、あれだけの痛みに耐えてきたんだ。あんな注射、どうってことないんだろうな」
 そう言って笑いだす。
「先生は痛いの嫌い?」
 いや、誰も痛いのが好きな人はいないだろう。
 でも、それとは別次元で苦手なのかな、と思った。
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