光のもとでⅠ
 こんな顔をする人が、昨夜からの発作にずっと付き合ってくれていたのか、と思うと申し訳ない気がした。
「先生は不思議な人ですね。痛いのが大嫌いで、きっと痛がっている人を見るのも好きではないのでしょう? でも、こうやって癒す側に立ってる。なんだかとっても矛盾してる人みたい」
「うるせぇ……」
 先生は悪態をつきながら、食器トレイを持って病室を出ていった。

 治療時間までは休んでいろ、と言われた。
 今、私の手には白い分厚い封筒がある。
 今すぐ見たい気持ちと、ここではなく携帯ゾーンで開けたい気持ちが交錯する。
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