光のもとでⅠ
「どうしようかな……」
 そんなことを考えていると、昇さんがカートを押しながら入ってきた。
 その後ろからは嫌そうな顔をした相馬先生が入ってくるわけで、本当に痛いものが嫌なんだなぁ……と思った。
 私は採血も筋肉注射も静脈注射も慣れっ子で、点滴につながれるのも慣れっ子で……。
 でも、そういうのも相馬先生は嫌なんだろうな。
 私が嫌なのは、注射のたびに内出血が増えることくらい。
「ペインは補助がいたほうが楽だからな」
「てめぇひとりでやりやがれ」
 そんなふたりのやりとりに疑問が浮かぶ。
「昇さんと相馬先生は同い年ですか……?」
 さっきご飯を食べているとき、相馬先生の学生時代の話を少し聞いたけれど、相馬先生の年は聞いていない。
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