光のもとでⅠ
 ツカサの意思はかなり固かったようだけれど、「そんなに焦る必要はない」と周りに説得されたらしい。
 高校では高校生のときにしかできないことがある、と。
「あいつにとって、学校ってのはあまり意味のない場所だったみたいでな。もともと素っ気無いやつだから、友達が多いわけでもないんだろう」
「――そんなの嘘っ」
「翠葉ちゃん……?」
「あ、ごめんなさい……。根拠はないです。でも、そんなことないって、私が思いたいだけかも……」
「……記憶はなくても、記憶の欠片は翠葉ちゃんの中にあるのかもしれないな」
「……欠片?」
「そう。だから、もしかしたら今の即答には根拠があるのかもしれない。それは追々わかればいいさ」
 昇さんの言葉でこの件に関してのお話は終わりになった。
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