光のもとでⅠ
 今まで、どれだけ大きな病院にかかっても、検査に異常がなければたどり着く先は精神科だった。
 そんなことを何度となく繰り返し、病院という場所になんの期待もできなくなっていた頃、両親の知り合いの伝手で藤宮病院にかかることになった。
 紫先生は検査に異常が出なくても、私を精神科に回そうとはしなかった。
 むしろ、精神科にかかる必要はないと断言してくれた人。
 ほかの病院でたくさんの検査をしてきた経緯を知れば、今までに行った病院から検査結果を取り寄せ、必要以上の検査はしないでくれた。
 そして、先天性の僧帽弁逸脱症を発見してくれ、僧帽弁が人よりも薄いこともわかった。
 今思えば、両親の知り合いというのは静さんだったのだろう。
 私はこの病院にたどり着くまでのことをひたすらに思い出していた。
 気持ちが悪くて、何かほかのことに意識を逸らしたくて……。
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