光のもとでⅠ
 身体が弱かったのは小さい頃からだけど、痛みが出てきたのは九歳の頃。
 その頃から病院をたらいまわしにされ、紫先生に出逢えたのは中学二年の夏――。
 長かったな……。
「気持ち悪い……」
 十一日に投薬を開始して、まだ二日目だ。
 薬が身体に馴染み副作用が消えるまで、二週間ほどかかると言われている。
「あと十二日……」
 そしたらもう八月末で夏休みが終わってしまう。
 本当に、二学期に間に合うのだろうか……。
 考え出せば不安の種などそこらじゅうに転がっていて、早くも芽をだしては成長しそうな勢いがある。
 けど、芽が出るたびには摘んで捨ててくれるのが相馬先生と昇さんで……。
 なんだかこのふたりには具合が悪いところを見られるのは慣れてしまった。
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