光のもとでⅠ
「うん……。写真、ありがとう。すごく嬉しかった……ありがとう」
「どういたしまして……」
 なんだか微妙に空気が重い。
「……電話、出れなくて、メールにも気づかなくて悪かった」
 スツールにも掛けず、立ったまま謝られた。
 咄嗟に身体を起こし、「謝らないでほしい」と言おうとしたら、身体を起こす前に頭を小突かれた。
「吐き気、ひどいんだろ? 無理して起きなくていい」
 こういうところ、まだお医者さんじゃないのにすごくお医者さんぽい。
 昇さんの話を聞いたからか、ツカサがどんどんひとりで先へ行ってしまう気がしてすこし怖かった。
 怖い、というよりは、寂しいのかもしれない。
 なんだろう……。
 こんな感情の名前は知らない――。
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