光のもとでⅠ
十三日以降、ツカサは毎日のように来てくれた。
来てくれたところで、私は話もできないくらい吐き気に見舞われていたのだけど、そんなときは話しかけるでもなく、ただ私の視界に入る場所で本を読んでいた。
それが続くと、空気みたいな存在になりつつあった。
途中で蒼兄や唯兄、お母さんが来れば病室を出ていったり、一緒に雑談をしていたり。
ツカサの口数は少ないものの、少しずつ家族に慣れ始めているのが見て取れた。
十五日には麻酔科の先生、久住高良(くずみたから)先生が挨拶にいらしてくださった。
手術と診察の過密スケジュールをこなしている先生と紹介されたものの、殺伐とした感じは見受けられず、朗らかに笑う先生だった。
「去年までは神経ブロックや硬膜外ブロックをしていたと聞きました。今年は違う治療法ですね」
「神経ブロックはもうやりたくないです……」
「そうですよねぇ……。神経の中枢に打つ注射は痛いですからね。やらないに越したことはありません」
そんな話をしながら治療が始まる。
来てくれたところで、私は話もできないくらい吐き気に見舞われていたのだけど、そんなときは話しかけるでもなく、ただ私の視界に入る場所で本を読んでいた。
それが続くと、空気みたいな存在になりつつあった。
途中で蒼兄や唯兄、お母さんが来れば病室を出ていったり、一緒に雑談をしていたり。
ツカサの口数は少ないものの、少しずつ家族に慣れ始めているのが見て取れた。
十五日には麻酔科の先生、久住高良(くずみたから)先生が挨拶にいらしてくださった。
手術と診察の過密スケジュールをこなしている先生と紹介されたものの、殺伐とした感じは見受けられず、朗らかに笑う先生だった。
「去年までは神経ブロックや硬膜外ブロックをしていたと聞きました。今年は違う治療法ですね」
「神経ブロックはもうやりたくないです……」
「そうですよねぇ……。神経の中枢に打つ注射は痛いですからね。やらないに越したことはありません」
そんな話をしながら治療が始まる。