光のもとでⅠ
 その場には昇さんと相馬先生、楓先生もいて、なんだかとても恥ずかしかった。
 治療のときは、広範囲に注射を打つ都合上、ほとんど下着のような格好になる。
 でも、ここにいる人はみんなお医者様で、みんな私の治療をしたことがあるのだから、今さらと言われたら今さらだ。
 それでも恥ずかしいことに変わりはなく、それでも恥ずかしいと言えないのが治療時間で……。
「翠葉ちゃん、バスタオルをかけて治療場所を少しずつずらしていくからね」
 楓先生が大きなバスタオルを二枚用意してくれていた。
「……ありがとうございます」
「うん、やっぱり恥ずかしいよね。年頃だもんね」
 こういうところが楓先生だな、と思う。
 いつも私の目線を……患者の目線で物事を考えてくれる。
 そんな楓先生を見て、昇さんが「いい医者になったな」と口にした。
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