光のもとでⅠ
 そう思ったとき、
「気負うなよ?」
 すかさず相馬先生に釘を刺された。
「今年の学会には私も出席する予定です。翠葉ちゃん、一緒にがんばりましょう」
 久住先生の言葉に、「はい」と答えた。
 先生たちは患者だけにがんばらせない。
 先生たちだけががんばらない。
 一緒にがんばろう、と言ってくれる。
 それが、とても嬉しかった。


 * * *


 八月の終わり、佐野くんがお見舞いに来てくれた。
「調子はどう?」
「副作用もだいぶ抜けてきたし、少しずつご飯も食べられるようになったよ」
 二週間きっちりで副作用は治まった。
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