光のもとでⅠ
それからは普通にご飯も食べられるようになり、高カロリー輸液も外された。
左手の点滴はまだついたままだけれど、脱水症状が完全に抜けてないから、退院まで続けると湊先生に言われていた。
「記憶は……?」
佐野くんは訊きづらそうに口にする。
「まだ思い出せないの。でも、たぶん大丈夫……」
「え?」
「記憶がない部分の話は全部聞いたの。……ショックを受けることは受けたんだけど、話を聞いていても、自分の話には思えなかった……」
「悪い……話すのがつらかったら言わなくていいから」
佐野くんはそう言ってくれたけど、
「違うよ。……つらいことはつらいけど、でも違う。記憶はなくても、今から関係を築くことはできるんだよね?」
「……御園生?」
左手の点滴はまだついたままだけれど、脱水症状が完全に抜けてないから、退院まで続けると湊先生に言われていた。
「記憶は……?」
佐野くんは訊きづらそうに口にする。
「まだ思い出せないの。でも、たぶん大丈夫……」
「え?」
「記憶がない部分の話は全部聞いたの。……ショックを受けることは受けたんだけど、話を聞いていても、自分の話には思えなかった……」
「悪い……話すのがつらかったら言わなくていいから」
佐野くんはそう言ってくれたけど、
「違うよ。……つらいことはつらいけど、でも違う。記憶はなくても、今から関係を築くことはできるんだよね?」
「……御園生?」