光のもとでⅠ
「あのね、ツカサと話をしていてわかったの。記憶がなくても私はツカサが大切だと思う。だから、また話をしたり一緒にいる時間があれば大切だとか好きだとか、そういう気持ちは私の中に芽生えるんじゃないかな、って……。それまで時間をくださいって秋斗さんにもお願いをしたの」
 佐野くんはものすごく驚いた顔をしていた。
「佐野くん……?」
「あぁ、ごめん……。なんか、御園生が変わったっていうか、強くなった気がして驚いた」
「……そう?」
「うん。人の影に隠れて怯えてる感じがないっていうか……」
 その言葉に私は苦笑する。
「私、本当にどうしようもない子だったんだね」
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