光のもとでⅠ
 そんなことを考えていると、
「姫さんよぉ、一応ここ病室だぜ? ちょっとは声量落とせや」
 正論だ……。
 正論過ぎてムカつくを通り越して追い出したい。
「っていうか、相馬と湊ってなんかつながりあったか? 俺、知り合いなんて話聞いてねーよ?」
「ちょっとな」
 相馬は愉快そうに答えた。
「で? お姫さんはまだ囲われてるわけか?」
 囲われてる?
「囲われてるって何よ……」
 声量を抑えてみたものの、声のトーンは下がっていく一方だ。
「あれ? お姫さんは気づいてないのか? ってことは、もしかしたら結婚もまだか?」
 囲うとか気づいていないとか結婚とか、あんたいったいなんの話を……。
 あまりにも要領を得ない話に、つい眉間に力がこもる。
「へぇ~……それは面白い。俺も帰国できたことだし、また姫さん口説こうかね?」
 冗談じゃないっっっ。
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