光のもとでⅠ
「普通」の親には理解されないかもしれない。
 が、世間一般の考えはわかっているつもりだ。
 娘が傷つこうものなら是が非でも、身体を張って守る。
 それには賛同する。
 でも、これは違うと思うんだ。
 翠葉の成長過程――俺はそう思う。
「娘が無暗やたらと傷つくのを見過ごすつもりはない」
 静に視線を向けると、「なら――」と何か言いたそうに口を開いた。
「静、傷つくのにも種類があると思わないか? 傷ついて何かを得られるものと、ただ傷つくだけで何も得られないもの。ふたつに分けるとしたら、恐らく今までのことは前者だと思うんだ。翠葉はそこから何かを学んでいるし、それでも秋斗くんを拒絶してはいないんだよ」
「おまえはわかってない」とでも言うように、静が頭を緩く振る。
< 2,849 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop