光のもとでⅠ
 家柄も何もかも、藤宮に引けを取らない家々から見合いの話だって来ていたはずだ。
 けれども、彼はその申し分ない相手たちではなく翠葉を選んだ。
 そこに一見の価値を見出したい。
「零樹、これだけは言える。秋斗は翠葉ちゃんに対して中途半端な気持ちで動いてはいない。将来のことも見据えてる」
「それは藤宮独自のあの考えでいいのかな?」
「例外はない。……その証拠に、あいつは藤宮を出るつもりでいる」
「は?」
 寝耳に水。
 いや、今俺は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしているに違いない。
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