光のもとでⅠ
「もし翠葉ちゃんと結婚することになったとしても、いずれ自分が会長職に就くとなれば必然的に彼女の身の危険も考えなくてはいけなくなる。そういうことの一切が及ばないよう、藤宮から出て独立起業を考えている」
「……なんていうか、翠葉もすごい人間に惚れられたなぁ……」
「それから、今回彼女が記憶を無くすにあたっては俺も一枚噛んでる」
「あぁ、聞いてる。病室に監視カメラをってやつだろ? 蒼樹から聞いた。それはさ、翠葉を監視するんじゃなくて秋斗くんを、だよね。だから、訊かなくても真相なんて見え隠れしてるようなものだよ」
 静は俺の言葉に相当驚いたようだった。
「どうしてそれでも落ち着いていられるんだっ!?」
 半ば怒られている気分だ。
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