光のもとでⅠ
「だからさ、蒼樹の言うことと、俺的分析がはじきだした答えはこうなわけ。彼は彼なりの理由があって翠葉を十階の病室へ移した。そして監視されるような何かをした。でも、きっと彼は翠葉を傷つけるつもりはこれっぽっちもなかったはずだ。娘の性格をかんがみて行動したことなんじゃないかと思ってる」
「……恐れ入った。おまえはどこまでも楽天的なんだな。
 これ、たぶん褒められてないよなぁ……。
 でもさ、
「こんな性格じゃなかったらおまえと長年付き合ってられるかよ」
 そう言えば、静は驚いた顔を少し崩して嬉しそうに笑った。
「なんだ、そういう顔もできるんじゃんか。あんまさ、うちの人間威嚇しないでやってもらえる? それはもう、かわいそうなくらいにオーナーが来るっていうと、みんな萎縮しちゃって仕事の進行に響きそうなほどなんだから」
「メリハリは大事だと思う」
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