光のもとでⅠ
「静のはメリハリじゃなくて、単なる威嚇。はい、今のところテストに出るよ~」
 笑って言えば、静が吹きだした。
「思い出した? 高校の東野先生の真似」
「……悪いな、時間取らせた。そろそろ行く」
「うん、そこに澤村さん潜んでるしね」
 木陰に目をやると、スーツ姿の男が木陰から出てきた。
「静様、お時間です」
 まるで、これ以上は無理です、と言いたそうだ。
「わかってる」
「澤村さんも苦労するよね? こんなワンマンオーナーが上司じゃさ」
「人間には順応力が備わっておりますので」
 にこりと笑われた。
 きっと、この柔軟さがなければ静の下は務まらないだろうな。
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