光のもとでⅠ
 けど、ハナと会ったときの翠の反応を見たかったとは素直に言えず……。
「ハナちゃん、すごくかわいいね? この裏にあんなお部屋があるなんて知らなかった」
 エレベーターのドアが開くと、翠は珍しく俺よりも先に歩きだした。
 点滴スタンドは俺が持ったままだというのに、まるでそんなことを気にせず先へ先へと進む。
 はしゃいでいるように見えた。
 こんな翠を見ることはめったになく、珍しいものを見ている気がする。
 そんなことに気を取られていて、返事をするのに少し遅れた。
「俺たちの祖母が入院したときに急遽作ったんだ」
 何がそんなに嬉しい?
 ハナに会えたこと?
 そう思えば、なおさら悔しさが募るわけで……。
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