光のもとでⅠ
 掃除機のスイッチを入れると、けたたましい音がし始めた。
「軽量化に加えてこの音もどうにかするべきだよね」
 まじまじと掃除機を観察する秋兄に、
「どうでもいいけど、この部屋の掃除が終わらなければ釣りには行かせないから」
 ボソリと一言零すと、面白いくらいにせかせかと掃除機をかけ始めた。
 そんなに釣りに行きたかったなんて初耳だけど……。
 第一、秋兄にアウトドアの遊び、というのが想像できない。
 不思議に思いつつ、掃除しなれない秋兄をじっと監視していた。

 掃除を始めて十分ほどしたところで携帯が見つかった。
 まんまと羽毛に隠れていたわけで、すぐにその電源を入れる。
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