光のもとでⅠ
「俺、あんまりいい思い出はないっぽいけど?」
「嘘だろ? サバイバルゲームはかなりはまってたじゃんか」
 あぁ、あれは確かに楽しかったけど……。
 二チームに分かれて作戦練って、人の裏をかく――。
 ドンピシャリで蛍光塗料入りの玉が当たると、その部分が発色し余計に狙いやすくなる。
 そんなことを思い出していると、
「俺は楽しかったなぁ……」
 秋兄はしみじみと口にした。
「ここにいる間は人の目を気にする必要はなかったし、何もかも忘れて開放された気分になれた」
 そのあとも延々と幼い頃の話や中等部の頃の話を話していた。
 俺と話をしたいと言っていたけど、ただ単に秋兄が俺に話をしたいだけの間違いだと思う。
 ……別にかまわないけど。
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