光のもとでⅠ
「またお会いできる日を楽しみにしています」
そんなふうに言って去っていったけど、
「……真っ平ごめんだ」
ゼロ課が絡むことなどそうそうないはずなのに、「また」だと?
「次があってたまるか――」
家に入りシャワーを浴び、夕飯を母さんと済ませてから病院へ行くつもりだった。
しかし、出かける間際に母さんが言い憎そうに声をかけてきた。
「お父様が庵でお待ちなの……」
じーさんが何……?
きっと母さんは何も聞かされていない。ゆえに不安そうな顔をしているのだろう。
「わかった、寄っていく」
ゼロ課の存在を知った直後ということもあり、嫌な予感を胸に庵を訪ねると、
「来たか」
「……何」
「コーヒーでも飲むかの?」
「このあと用があるから早く済ませたいんだけど」
「つれぬのぉ……。まぁ時間はかからぬわ」
じーさんは髭をいじりながら言う。
「ゼロ課の存在を知ったとな」
今年八十八になるというのに、目に宿る眼光は一向に衰えない。
そんなふうに言って去っていったけど、
「……真っ平ごめんだ」
ゼロ課が絡むことなどそうそうないはずなのに、「また」だと?
「次があってたまるか――」
家に入りシャワーを浴び、夕飯を母さんと済ませてから病院へ行くつもりだった。
しかし、出かける間際に母さんが言い憎そうに声をかけてきた。
「お父様が庵でお待ちなの……」
じーさんが何……?
きっと母さんは何も聞かされていない。ゆえに不安そうな顔をしているのだろう。
「わかった、寄っていく」
ゼロ課の存在を知った直後ということもあり、嫌な予感を胸に庵を訪ねると、
「来たか」
「……何」
「コーヒーでも飲むかの?」
「このあと用があるから早く済ませたいんだけど」
「つれぬのぉ……。まぁ時間はかからぬわ」
じーさんは髭をいじりながら言う。
「ゼロ課の存在を知ったとな」
今年八十八になるというのに、目に宿る眼光は一向に衰えない。