光のもとでⅠ
心の整理がつかないまま自転車に跨り舗装された山道を走る。
陽が落ちた今はさほど暑くないはずなのに、山から下りてきた自分には暑く感じられる下界。
時計を見れば七時半前だった。
坂を下れば病院まですぐ。
ジーパンのポケットにはチェーンが入っている。
夕飯のとき、母さんに昨日から今日までのことを訊かれるのが面倒で、自分から話題を振った。
「あのさ、長いチェーン持ってない?」
「……この間のじゃだめだったの?」
「そうじゃない。……翠はすごく喜んでいたけど、手先が痛むらしくてつけ外しができないんだ」
「そうなのね……。じゃ、留め具をいじらなくてもつけ外しできる長さがいいのね」
逡巡していた母さんが、「あっ!」と立ち上がり部屋を出ていった。
陽が落ちた今はさほど暑くないはずなのに、山から下りてきた自分には暑く感じられる下界。
時計を見れば七時半前だった。
坂を下れば病院まですぐ。
ジーパンのポケットにはチェーンが入っている。
夕飯のとき、母さんに昨日から今日までのことを訊かれるのが面倒で、自分から話題を振った。
「あのさ、長いチェーン持ってない?」
「……この間のじゃだめだったの?」
「そうじゃない。……翠はすごく喜んでいたけど、手先が痛むらしくてつけ外しができないんだ」
「そうなのね……。じゃ、留め具をいじらなくてもつけ外しできる長さがいいのね」
逡巡していた母さんが、「あっ!」と立ち上がり部屋を出ていった。