光のもとでⅠ
 とんぼ玉を掴み損ねた翠は怪訝な表情をする。
「交換条件って……?」
「あのさ、秋兄に会わない?」
「……え?」
「藤宮秋斗、俺の従兄に会わない?」
「会うよ……? だって、いつか静さんが連れてきてくれるのでしょう?」
「そのときじゃなくて……明日、秋兄に会わない?」
 すごく悩んだ……。
 でも、俺も秋兄も、翠の知り合いなんだ。
 出逢ってないことにはできない。
 今のままじゃ、歯車はうまく回らない。
 時計と同じだ。直せるものなら直したほうがいいんだ。
 俺の気持ち的な都合かもしれない。
 でも、秋兄をあのままにはしておけない。
 自業自得だといわれようが、秋兄は自分の欲求を優先させて行動したわけじゃなかった。
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