光のもとでⅠ
「……ツカサ? そんな顔をしなくても私は会うよ? ……大丈夫だよ?」
 俺はそんなひどい顔をしているのだろうか。
 翠を見れば、何もかも見透かされてしまいそうな澄んだ目が俺を見ていて、その視線に耐えられなかった。
 視線を逸らそうとしたそのとき、
「藤宮秋斗さんは怖い人というわけではないのでしょう?」
 まずい、不安がらせたかっ!?
「どうして? どうしてそんなに不安そうな顔をするの?」
 今日二度目、覗き込むようにして訊かれる。
 でも、どう答えたらいいものか……。
 わかっていることはひとつ――秋兄だけのせいにはできない。
「翠の記憶が無くなった理由が俺と秋兄にあるかもしれないから」
 翠は驚いた顔をしていた。
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