光のもとでⅠ
「……俺には考えられない。結婚を軸に考えて就職や職業を変えるとか絶対無理」
 結婚は結婚であって、自分の職業そこに混同することは考えられない。
「昇さんが言ってたのだけど、年代物の絵画を修復するのも、人を治療するのも変わらないんだって。昇さんにとっては患者さんを治すのも絵画を修復するのも、『なおす』職業として『同じ』って認識されるみたい。不思議だよね?」
 一風変わった人だとは思っていたけど、古美術と生きてる人間を一緒にするなよ……。
 あぁ、でも――手先が器用ということには変わりないのか……?
 だから外科医なんだろうか。
 そんな話をしているところに相馬医師がやってきた。
「そろそろ就寝時間だ」
「栞さんは……?」
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