光のもとでⅠ
「海外にいるときも電話の内容はたいてい翠葉ちゃんのことだったさ」
「ま、今時珍しく擦れてない子ではあるかもな。真っ黒な俺からしてみたら、眩しいくらいの白で困っちまう」
 相馬は悪態をつきながらロビーのソファに腰を下ろした。
「俺も時々感化されそうで怖ぇよ」
「安心しろ。昇は間違いなく俺様と同類、真っ黒サイド」
 ケケケ、と笑う相馬と一緒にはなりたくないが、似たり寄ったりであることには変わりはない。
「栞……。翠葉ちゃんがかわいいのも守ってあげたいのもわかる。でも、翠葉ちゃんってそんなに弱い子か? 俺らが必死こいて守ってやらなくちゃ生きていけないくらいに弱いか?」
 栞は沈黙を守ったまま俺を見上げた。
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