光のもとでⅠ
「俺はさ、あの子と出逢ってまだ間もないよ。正直、脆いと思った。綱渡りしているような危うさを感じたりもした。でもさ、あの子はあの数値の痛みに耐えていた子なんだ。間違っても弱いだけの子じゃない」
「……いつだって隠すのよ。具合が悪いことも痛いことも――入院する前は本当にひどくて……」
 栞は言葉を詰まらせ涙を流した。
 入院する前がどれほどひどかったのかは栞からも湊からも聞いていた。
 それを説き伏せて連れてきたのが司だという。
 あの日のことは俺も覚えている。
 処置をしたのは俺と楓だったからな。
 初めて目にしたその姿にびっくりした。
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