光のもとでⅠ
 たとえば、言わなくても顔に書いてある、とか。
 言わなくても俺が気づけばいい、とか……。
 俺、どれだけ自信過剰なんだよ……。
 思わず笑みがもれる。
「翠は言わない――誰にも言わないんでしょうね」
 昇さんと一緒に病室に戻るつもりでいた。けど、やめた。
「自分、休憩で……」
 昇さんにそれだけ伝え、ナースセンターの一角に腰を下ろした。
 相馬さんのデスクには姉さんが持っていたはずのモバイルディスプレイが置かれている。
「それ、見せてもらってもいいですか」
 ひょい、と差し出され、
「あぁ、かまわんよ。さて、あのお嬢ちゃんはどこまで我慢するつもりなのかねぇ?」
 相馬さんはちらりと俺に目をやった。
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