光のもとでⅠ
 別に今話してることなんて急ぐ必要はない。
 途中でやめて後日に回したってなんの問題もない。
 なのに、どうしてこんな状態で話を聞き続けるっ!?
 この状況自体に腹が立つ反面、違うことに落胆していた。
 割となんでも話してくれるようになったと思っていた。
 そういうポジションを自分がキープできていると思っていた。
 でも、勘違いだった――。
 俺は全然翠に近づけてなんかいなかった。単なる勘違い……。

 缶コーヒーを飲み終え病室に向かって歩いていると、ちょうど昇さんが病室から出てきたところだった。
 軽く手を上げ、「終わった」と口にする。
「……変わり、ないですか」
 すれ違い様に訊くと、「ないな」と一言返された。
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