光のもとでⅠ
 さっきから視野がおかしくなること数回。
 目のせいなのか、だから頭痛がひどいのか……。
 通用口の脇に水道を見つけ、そこで顔を洗った。
 水も十分に生温かい。
「とりあえず、帰ろう……」
 家までの道は上り坂。
 たいした距離はないものの、今の自分にはかなり険しい道のりに思えた。
 いつもより時間をかけて帰ると、庭先で母さんが花に水遣りをしていた。
「おかえりなさい」
「ただいま」
「司……?」
「何?」
「ううん……ご飯まであと三十分くらいなんだけど」
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