光のもとでⅠ
「司、入るわよ?」
 入る……どこに……?
 あ――。
「ゴホッ、ゴホゴホっ――」
 声を発しようとしたら咳が出た。
「司っ!?」
 母さんがドアを開け駆け寄ろうとしていた。
「(来るなっ)」
 目と読唇術を使って伝えると、母さんはむっとした顔でずんずんと寄ってくる。
「風邪?」
 額に置かれた手が冷たくて気持ちよかった。
「やだ、すごい熱っ――」
「(だから、この部屋から出て。今すぐ出て)」
 俺の意思は伝わっている。しかし、
「私母親、司子ども。いい?」
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