光のもとでⅠ
「みんな近くにいるし、ちょこちょこ帰ってはくるのに五人が揃うことは稀だもの」
「あぁ……」
 姉さんも兄さんも、大学に入って二年目からはひとり暮らしをしている。
 それは、この藤山のキャンパスには医学部が入っていないからだ。
 大学一年では一般教養をメインに履修することから医学部も藤山のキャンパスに通う。が、二年次からは医学部のある支倉キャンパスへ移る。
 支倉は藤倉駅から電車で二十分ほどのところ。
 藤倉からも通うことは可能だが、通学時間がもったいないという理由から、姉さんも兄さんも支倉キャンパス近くのマンションから通っていた。
 そして、大学を出てからは静さんのマンションに入居。
 実家へは時々帰ってくるものの、みんな時間は様々。
 病院へ行けば父さんはいる。実家に来るのは母さんに顔を見せるため、といったところだろう。
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