光のもとでⅠ
 俺も大学に入ったら二年次からは支倉キャンパス近くでひとり暮らしをすることになるだろう。
 そしたら、この家には父さんと母さんのふたりになる。
 母さんは大丈夫だろうか……。
 身体が弱い以前に、母さんは人との接点が目に見えて少ない。
 社交的な叔母、紅子さんとは正反対の性格だ。
 自分の持つ愛情のすべてを家族とハナ、庭に咲く花に注ぐ。
 俺がいなくなれば母さんはひとりで夕飯を食べるようになるのだろうか。
 家族の団らんが好きな母さんには酷な話かもしれない。
「美味しくない?」
 真正面から声をかけられ食事中であることに気づく。
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