光のもとでⅠ
 一緒にいれば絶対に気づけると思った。思っていた――。
 けど、俺は昇さんを呼びに行くまで気づけなかった。
 それが三日前の出来事。
 あぁ……そうか。
 言ってくれない翠にも腹が立ったけど、何よりも俺は自分に腹が立ったんだ。
 気づけなかった自分に……。
 見逃さない自信があったのに、まんまと隠し通されたから。
 俺の勝手な責任転嫁が腹立つって思考回路に走らせたのか?
「母さん、それは言ってほしいって伝えて言ってくれるようになるもの?」
「難しいわね……」
 母さんは苦笑しながら食器を片付け始めた。
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