光のもとでⅠ
「言われた相手が何を考えるとか、そういうことを考える前の翠の考えを聞きたい」
「……でも、普通は口にする前に、相手がどう思うのかを考えるものじゃないの?」
「そういうのもありだけど――」
 このままじゃ俺が翠の本音までたどり着けない。
「俺はそっちじゃないほうがいいみたい。翠限定で……」
「……それは、トゲトゲした言葉を言っちゃう気がするから、私が嫌なんだけど……」
「俺は別にオブラートに包まれた言葉が欲しいわけじゃないし、下手に気を使われるのも好きじゃない。そのままの翠がいいんだけど」
「……そうなの?」
 心底不思議そうな顔をして訊いてくる。
 今、かなり告白に近いことを言った気がするけど、翠はこんなことくらいじゃ気づかない。
 言葉に隠れているものなんて見つけない。
< 3,071 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop