光のもとでⅠ
「別にかまわない。少しでも翠の生態や思考回路がわかるほうが俺には貴重」
「……ねぇ、人のこと観察対象として見ていたりしないよね?」
 こういう会話の流れでどうしてそういう方向に話が進むんだか……。
 でも、そういう話の方向転換に救われている自分もいるのだろう。
「……していないとは言わない」
「ひどいっ!」
 こんな会話をずっとしていた。
 少しは俺の気持ちに気づけよ、とか思わなくもないけれど、気づかれたらどうしたらいいのか……。
 そういうのはまだわからないから……。
 だから、ちょっとやそっと、こんな俺の対応でも気づかないくらい鈍感な翠に救われていると思う。
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