光のもとでⅠ

05

 朝のホームルームは出欠を取る程度で簡単に済まされ、始業式のために桜林館へ移動する。
 多方面の出入り口が開放されているため、一ヶ所に生徒が集中することはないものの、それでも一、二年棟から向かう生徒の使用率が高い出入り口というものはある。
 人ごみが怖かった。
 人の目が怖いのは仕方ない。
 それ以上に怖いのは、人とぶつかること。
 人の近くを通るのが怖い。
 あまりの怖さに、一階に下りたところで立ち竦んでしまった。すると、
「翠葉こっち」
 桃華さんが私の腕を引いた。
 ふたりクラスの集団から離れ、外周廊下を進み図書棟へと向かう。
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