光のもとでⅠ
「あの男になら言うのか、って訊いてるのっ」
「……言うというよりは、知ってるから言わない、かも……」
 口にして微妙におかしな文章であることに気づく。
 どうしてツカサは知っているのか……。
 それは、毎日のように病院に来てくれていたからで、毎日私の身体の状態を話す癖をつけさせようとした張本人だからで――。
 そこまで思い出して思う。
 まるで私の保護者のようだ、と。
「私も聞きたい……」
「……桃華さん?」
「あの男が聞けて私が聞けないのは不公平だと思うっ。私だって知りたいんだから……」
 いつもと違う桃華さんに戸惑う。
「翠葉が言ってくれるようになるまで待っていようと思ってたけれど、あの男に負けるのだけは我慢ならないのよ」
 桃華さんはぷい、と部室棟の方を向いた。
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