光のもとでⅠ
 腕を組み、ほんのちょっと肩を壁に預けるように立っている。
 小首を傾げると、襟足の髪の毛がさら、と動いた。
「俺たち、学年違えど同い年でしょ?」
 春日先輩がにこりと笑う。
 ツカサを見て、あとの二年生三人を順々に見る。すると、
「優太も朝陽も勘弁してやって。翠は留年していることを人に知られたいわけじゃない」
「ま、それもそうよね……」
 と、荒川先輩が人差し指を口に添える。
「翠葉、せめて名前に先輩付けで手を打ったら?」
 桃華さんに提案されて、何か思い出せそうな気がした。
 無くした記憶の一部――。
 けれども思い出せそうで思い出せない。すぐに霧がかかってしまう。
「あ、いいね! それで手を打つよ」
 美都先輩の声に意識を戻す。
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