光のもとでⅠ
 本当に便利な装置……。
 湊先生はモニタリングしていたからあの場所で待っていたのだろう。
 身体を起こし、ストールを羽織る。と、カーテンが開き、「戻れるの?」と訊かれた。
「はい、戻ります」
「今日のタイミングはなかなか良かったわよ」
「いつもあのタイミングで気づけなくちゃだめですよね」
「そうね。それが自分のためにもなるし、周りのためにもなるのよ」
「はい」
「痛みは?」
「少しだけ。でも、このくらいなら大丈夫」
 そう答えたけれど、「頓服だけは飲んでいきなさい」と言われた。

 保健室を出て静かな廊下を歩く。
 時折、上の階の椅子を引く音が聞こえてきて、学校にいることを実感する。
 この季節は校内すべてに空調がきいていて、開いている窓はひとつもない。
< 3,165 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop