光のもとでⅠ
 昇降口近くまで来たとき、ようやくむわっとした外気を感じた。
 でも、不快感よりはあたたかさに包まれる感じで心地よいと思えたり……。
 階段を上り、教室のドアを前にして緊張する。
 きっと今はホームルーム中。
 授業中やホームルームの最中に教室へ入るのは勇気がいる。
 人の視線が自分に集るのが苦手。
 でも、いつまでもここに立ってはいられない。
 そろり、と後ろのドアを開けると、ドア近くに座る小川くんがすぐに気づく。
「おかえり」
 普通に声をかけられて少し驚いたけれど、ちゃんと「ただいま」と答えることができた。
 次は川岸先生から話しかけられる。
「復活したかー?」
 相変わらず大きな声で。
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