光のもとでⅠ
 求められているのは、名前に先輩付け、のはず。
「うん、じゃ久は?」
 尋ねられて即答で、「キラキラ王子」と答えた私はバカだと思う。
 その場の皆に笑われ、ツカサには呆れた目で見られた。
 そのあと、サザナミくんにも同じことを訊かれたのだけど、これは別の意味で「サザナミくん」と答える。
「御園生さんって、本当に俺のこと眼中ないよね? どうせ、俺の名前なんて覚えてないんでしょう?」
 じとりと見られて慌てる。
「あ、あのねっ、サザナミくんはサザナミくんって感じなのっ」
「そりゃ、俺は漣だけどさっ! なんで同学年で俺だけ苗字っ!?」
「きれいだからっっっ」
 その場がしんとしてしまってどうしようかと思った。
 初めて図書室っぽい静けさに思えた。
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