光のもとでⅠ
 資料の林に戻ればツカサは立ったままファイルに目を通している。
「いいなぁ……あの記憶力」
 でも、羨んだところで手に入るものではない。
 私には私にできる方法でがんばるしかないのだ。
 ツカサは過去五年分の文化祭資料には手をつけず、それ以外の年のものを見ていた。
 たぶん、過去五年分は私が見ると思ったのだろう。
 もしくは、過去五年分のデータはすでに把握済み。脳内のハードディスクに保存済みとか……。
 とりあえず、何を書き出すにも項目が必要だ。
 五つのファイルの最終予算ページを開き、それらを見比べる。
 各クラスにどのくらいの割り当て予算があるのか、文化部への補助金、そのほか機材運搬や業者に依頼するもの。
 決して安いとはいえない金額が動いていた。
 これは本当に高校生が扱う金額なのだろうか。
 桁、間違ってないかな……?
 どの年のものを見ても金額は似たり寄ったり。
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