光のもとでⅠ
 治療をするときは先生とふたりのことが多い。
 トリガーポイントブロックのときは補助につく人もいる。
 退院してからの麻酔治療は、手術室がある階で昇さんか久住先生が処置してくれることになっている。
 いずれも、診察時にはお母さんも一緒だけれど、治療のときはお母さんは席を外す。
「学校はどうだ?」
「今日は始業式とホームルームだけです。あとは生徒会の集まりがあったけど、私は途中でお腹が痛くなって横になってました」
「そうか」
 なんてことのない会話。
「身体の痛みは?」
「痛いけど……でも、激痛発作は起きてないです。歩くことができるくらいのレベル」
「少しずつだ……。少しずつ痛みのレベルを落とす。今は治療効果が維持できていればそれでいい」
 十あったものを急にゼロにはできない。
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