光のもとでⅠ
 早く終わらせたくて、この日までに終わらせたくて、問題集に噛り付く毎日だった。
 それでも、一時間ごとに休憩を取らされる。
 たったの三日間っていわれるかもしれないけれど、その三日はほとんどが病室。
 お手洗いとお風呂以外の時間は病室で宿題をしていたのだ。
 その前の期間は薬の副作用がひどくて身体を起こせる状態にはなかったし……。
 正味半月だ。半月の間、病室からほとんど出なかったのだ。
 ようやく課題が終わったこの日、秋斗さんが来てくれたときに少しだけ中庭に出られたけれど、それ以外で病室を出ることはなかった。
 その日は藤倉市主催の花火大会があり、この病院の屋上が絶景スポットであることを湊先生から聞いて知っていた。
 病院の北に流れる藤川の河川敷から打ち上げるそうで、ほぼ目の前、真上に近い状態で見られるのだとか。
 それを見にいきたくて宿題をがんばったのに、具合が悪くてお預けなんて嫌だ……。
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