光のもとでⅠ
 今は屋上に停留したままだ。
 ツカサの視線は「翠の負け」と言っているような気がしてならない。
 それも悔しいけれど、やっぱり見たい気持ちが勝ってしまう。
「恥ずかしくてもいいっっっ。でも、重くても途中で落とさないでよねっ!? 落とされたら絶対に痛いんだからっ」
 ツカサを睨むように見上げたら、ぷっ、と吹きだされた。
「なんで笑うの……?」
 ツカサは何も答えず、私を抱え上げた。
 ツカサは決して体格がいいわけじゃないし、どちらかというなら細身だろう。
 なのに、私のことを軽々と抱き上げる。
 こんなとき、力の差を感じ、男子なんだな、と思う。
 左手をツカサの首に回したら、骨ではなく筋肉の硬さだった。
 蒼兄と同じ、筋肉の硬さ……。
 間近にツカサの顔があってドキドキする。
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