光のもとでⅠ
 こんなに近くで見てもきれい……。
 私の意識はツカサに釘付けだった。
 しかし、それも束の間――。
 エレベーターのドアが再度開くと、ドーン――と大きな音がダイレクトに聞こえてきた。
 頭が空っぽになりそうなくらいの大音量。
 音と共に目の前に広がる花火が大きくて――大きな花火に意識を掻っ攫われた。
「菊の花みたい……」
 エレベーターの中でも音は聞こえていた。
 けれども、何ものにも阻まれない場所で聞く音は一際大きく感じる。
 この屋上は九階と十階に入院している患者しか立ち入りが許されていないため、私たち以外の人はいない。
「そこまでして見たいか?」
 ツカサが首を捻った。
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