光のもとでⅠ
「風がこっちに向かって吹いているから少し流されてるんだな」
 そんなふうにツカサが分析した。
「ツカサ、すごいね? ドーン、ってすごいねっ!? 見て見て! 星が降ってくるみたいっ、光のカーテンだよっ!」
 ただひたすらにはしゃいでいたと思う。
 ツカサは私の頭の方に座って、何を言うでもなく空を見上げていた。
 横になって頭に血液が行けば眩暈も吐き気もなくなる。
 横にさえなっていれば大丈夫。
 花火を見ている間横になっていれば、病室に戻るときには血圧も安定して自分で歩いて戻れる。そう思っていた。
 でも、実際はそんなに甘くなかった。
 すごく興奮していたから血圧も少しは高かったはずなのに、ベンチから起き上がり立って数歩――。
 時間差で眩暈がきた。
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