光のもとでⅠ
 ツカサが咄嗟に支えてくれなければ、間違いなく倒れていただろう。
「あんなに騒ぐからだ、バカ……」
 呆れた声だけが聞こえる。
 そして、「拒否権なし」の言葉が聞こえたときにはふわり、と抱き上げられていた。
「ツカサ……目の前、真っ暗だけどまだ花火が見える。チカチカする」
「……それ、あまりいい花火じゃないと思う」
「うん……さっきの花火みたいにきれいとは思わない、気持ち悪い……」
 そんな話をしながら九階に戻ると、相馬先生にまんまと見つかった。
「何やってんだ?」
 ちゃんと許可を得てから屋上に行った。
 でも、相変わらず身体の負担になることは禁止だと言われている。
 だから、途中で貧血を起こしたのに引き返さなかった私がルール違反。
 それでも譲れなかった花火大会。
 それをふたりに力説したら、笑われて呆れられて怒られた。
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